②特許権の構成に別要素が加わった場合の侵害の有無の件
筆者の依頼者企業がある化学物質の生産方法の特許権者企業から特許権侵害を訴えられたものである。
後にP.341にも述べるが、特許権の構成要素がA+B+Cである場合に、侵害とされる対象たる生産方法(依頼者の生産方法)の構成がいわばA+B+C+DのときにDの及ぼす作用効果を良く検討しなければならない。
何故ならば、特許は排他的独占権を与えるものだからその構成要素は基本的に限定的なものとして解釈されなければならないからである(P.113も参照)。
これについて一審裁判所(地裁)は、Dによる作用効果について判断をせず、「A+B+CはDの付加を排除していない」として侵害を認めたが、このようないわば民法的な解釈では不可である。
これだと極端には、Dがどういう効果を与えようと、いわば「何であっても」特許の権利範囲に入って特許侵害となってしまい、極めて不合理である。
この件については、一審では、依頼者側が敗訴したが、控訴審裁判所(高裁)では、別に提起した特許無効審判によって、当該特許が無効となったために特許権侵害とはならなかった。
筆者は、一審の裁判所の判断は正しくなかったと考えている。
③コンクリートU字溝の権利侵害事件
実用新案権侵害訴訟で、権利者の代理人として、いわば「相撲に負けて勝負に勝った」といえるケースであるが、後にP.233第8章4で、特許制度とその利用との関係で、やや詳しく述べる。