その日の夕方にはトタンと木版を打ち付けた掘っ建て小屋が完成していた。
「本当に完成しちゃったよ……」
僕は本当に出来上がってしまったあばら家の玄関に立って、唖然としていた。
「おぉい、ニシジマ! 手ぇ貸してくれ!」
先生が手招きしている。佐久間くんが僕の肩を叩き、小屋の中へ入った。
「佐久間くん」
振り向いた彼に、僕は頭を下げた。
「なんだよ」
「ありがとう、先輩のわがままに付き合ってくれて」
すると彼はきょとんとした表情を見せた。
「お? おう。一宮の知り合いだろ? なら歓迎するぜ。それに……」
僕が首を傾げると、彼は歯を出して笑った。
「すげぇだろ、ここの人たち」
僕は、佐久間くんの見せた笑顔につられて少し顔が緩んだ。
「うん、すごいよ」
佐久間くんが部屋の奥に入ろうとした。
「あ、それと」
「どうした?」
「目の下、ススが付いてクマみたいになってる」
佐久間くんは軍手の親指で目の下を擦る。
「お? おう!」
ススが付いていることが確認できたのか、彼は僕に親指を上げて、そのまま先生の元へ向かった。
「なんか、可愛いな、佐久間くん」
「そう思います?」
僕は驚いた。視界の外から藍原さんの声が聞こえたからだ。
「彼は彼なりに全力なんです。ただ自分のやりたいことを、純粋に楽しむこと。私たちが自然と忘れてしまうことです。見習わなきゃ……ですね」
藍原さんは、ふふっと笑いながら部屋の奥に入っていく。僕は彼に続いて小屋の奥へと足を踏み入れた。
本連載は今回で最終回です。ご愛読ありがとうございました。
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