翌朝。
「本当にすみませんでした!」
先輩が藍原さんに対して頭を下げていた。
そして僕はというと……
「はぁぁ、ビンタされたにしては、また赤く腫れたなぁ」
佐久間くんの治療を受けていた。
「ちょっとしみるぞ」
僕が痛がっている横で、大田さんが座った。
「嬢ちゃん、だいぶ酔ってたからなぁ。車の中でさえ、泣きじゃくってたんだから」
「言わないでくださいよ! あの時はだいぶ回ってて~!」
とても失礼なのかもしれないが、あんなにも情けない先輩の顔は初めて見た。先生が襖の向こうからやってくる。
「で、おっちゃん。その嬢ちゃんはどうすんだ?」
先輩が一歩前に出る。
「ここで働かせてください! お願いします!」
「……って、ことらしい」
先輩がすごい勢いで頭を下げるものだから、先生も驚いて少し固まった。
「構わねぇが……ここは出入りが簡単じゃないし、住み込みだし……ほら、ここには……野郎しかいないぞ?」
「でも……お願いします!」
「これ以上住める部屋もないしなぁ……」
佐久間くんが、手を挙げる。
「だったら作っちゃいましょうよ! 新しい家!」
湯呑を傾けていた僕は仰天してむせる。
「えぇ?」
先輩はキラキラした眼差しで佐久間くんの方を見る。
「そんなことってできるんですか?」
すると、藍原さんがすっくと立ち上がった。
「妙案だな、ちょうど作りたいと思っていた図面があるんですよ」
先生が膝を叩き立ち上がる。
「わかった、決まりだな。ここは俺の私有地だ。好き勝手に使ってくれて構わん」
大田さんも立ち上がり、玄関の方へ歩いていく。
「なら資材は車で持ってくる。いる物あったらメモにでも書いてくれ」と、とんとん拍子で話が進んでいく。
子供のようにキャッキャとはしゃぐ先輩を横目に、僕はあっけにとられて何も口をはさめなかった。
佐久間くんが、僕の肩を叩く。
「まぁ任せときなって」