【前回の記事を読む】「何がダメなんでしょうか?」努力しても報われない男に告げられた“あまりに残酷な現実”――そもそも声優とは……

一 声優になるとは、どういうことなのか

一‐二 いい声優になるとは、どういうことなのか ~沢村祐太朗~

神野 台詞やナレーション、表現っていうのは、どんなに速く噛まずに読めたとしても、読んでいるように聞こえたら、それは使えない。作品に必要なのは、演じているのだけど演じているようには聞こえない、本を書いた人のイメージの人がそこにいる。伝わる、感動する、笑える、〝相手の心に刺さるような表現〞がそこに無いと意味がないじゃない

沢村 ……

神野 そんな表現ができる、その表現を届ける人が、声優っていう人達なんじゃないかな

沢村 それはわかります。でも、基本を勉強する段階から、そこまでのことを考えないといけないんでしょうか?

神野 沢村のいう〝基本〞って何なんだ?

沢村 それは、しっかり声が出るとか、噛まないように読めるとか……

神野 結果、読んでいるように聞こえてしまう台詞のためのそれは、基本じゃない。芝居の基本は、そんなことじゃないんじゃないかな。相手に伝わる、その人がそこにいるように聞こえるための表現の基本は、方程式のような勉強じゃ出来上がらない

沢村 ……

神野 何度も説明したつもりなんだけどね。わかってはいるけど、認めたくないってことなのかな

沢村 神野さん……ということは、僕は駄目なんでしょうか?