⑥子どもの絵の批評

子どもの絵をよく観察し、発達したところや以前の絵から変わったところ、また、大きく描いたり細かく描かれた対象などを見逃さず、ほめたりやさしく聞いてあげたり(「これは何をしているところ?」や「これは、何かな?」など)することが大切です。

言葉で語ることが少ない幼児期には、絵を通して子どもの考えや感じていることを知ったり、子どもの描画に関わったりすることが、その子の描画の自信になったり自己肯定感を育成したりすることになります。その関わりを進めるためには、子どもの絵の発達段階を知ることや、子どもの絵をよく<観察>することが大切です。

絵から子どもの生活を知ることは、子どもをよく理解することにもつながります。幼児や小学校の低学年児童は、言葉で日常を語ることはまだ難しいので、描画は、保護者・保育者・教師と子どもとのコミュニケーションの重要なツールなのです。

子どもとのコミュニケーションは、保護者や保育者、教師からの一方通行では成立しません。双方向で心が通い合うことが求められます。その仲立ちをするのが描画です。

ある公立保育園で、私は、お母さん方を対象にした講演会を行いました。その講演会では、まずはじめに私が描画の発達段階について、簡潔にお母さん方に話をした後、お母さんたちがクラスでの子どもたちの描画活動を見ました。その後、それらの絵を展示し、私が子どもの絵の発達や特徴及び生活意識について、子どもたちが描いた絵を見ながら講演を行いました。

その時、子どもたちが描いたのは、自分の家族の絵です。私は、それぞれのクラスの子どもの描画活動を見て回りました。

あるクラスに入った時、1人の子どもがお母さんを描いていました。顔は、すでに描かれていました。その子のお母さんがクラスに入ってきた時、子どもはお母さんの顔を見た途端、赤のクレヨンを持ち、描いてあった口を赤で激しくぬりたくりました。口が強い表現になりました。

私は、その後の講演で、ここで気づいたことをお母さん方の前でお話ししました。