サウジアラビアへ
メンクを動かしてから数カ月経った頃、工場長に呼び出された。
「鈴木君、サウジアラビアに行かないか?」
サウジアラビアとは、あの中東のサウジアラビアだろうか。どういうことだろう。
驚いている私に、工場長は事情を詳しく説明してくれた。取引会社の千代田化工建設が、サウジアラビアの石油精製プラント建設に参加している。そこで使用している建設機械の整備やメンテナンスができる人材を、川崎重機から出してほしいと要請があったそうだ。
石油精製プラント建設なら、発電機をはじめ確かにたくさんの重機を使うだろう。その分整備も重要になる。非常に重要なプロジェクトだが鈴木君なら安心して出せる、どうだ、行ってみないかと工場長は言った。
この時は一年間という話だったが、行ってから伸びることになった。工場長は、助手を一人選んで連れて行っていいと言うので、私は弟と一緒に行くことにした。弟は未成年だったが、川崎重機で働いていて私が機械の整備を教えていたからだ。
川崎重機の時に作った野球チーム
私は頭の中に世界地図を広げ、サウジアラビアはあの辺かなあと考えてみた。しかし海外旅行も海外出張も現在のように一般的ではなかった時代だ。私は海外どころか飛行機に乗ったこともなかった。