…ところで、一番札所で参拝用品を買う世話をしてくれた女性は橋の上では杖を突かないように教えた。

それは、木橋しかなかったころに徧礼者が行乞伝教して雨天などに橋の下に野宿することもあり、そうした徧礼者の一人として修行中の空海もいるから、それを気遣うようにとの教えだと私は解釈した。

空海は、『御遺告』によれば入定後も常に生前の巡錫地を廻っていることになっているので、これをもとに「同行二人」の信仰がつくられ、徧礼者や行乞伝教者らに対する心遣いとしてこうした取り決めがつくられているのだろう。

二番極楽寺に至る。この寺は天正年間に長宗我部の兵乱で退転し、江戸期には「小庵に堂守の禅門あり」といった寂れようだったが、今では道路に面して数台の大型バス用の駐車場があるほどの盛況だ。

仁王山門をくぐるとすぐ納経所があり、そこから庭が広がり、奥の築山の裾に本堂、築山上に大師堂が配されてある。

この庭がよくて、辿りついたときに「ここまで来た」という達成感があって、内面的高揚感が生まれる。

これは庭の与える美的感化力で、日本人一般に刷り込まれている自然との一体感によって増幅され、ここまで来たという達成感が強められた結果だ。

 

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