『ジョイ・ラック・クラブ』(母と娘)

エイミ・タンの『ジョイ・ラック・クラブ』は、中国に生まれ育ち、後にアメリカに渡った女性達の体験を描いた作品です。この女性達はアメリカで家庭を持ち、子どもを育てました。この物語には、その女性達の織りなす人生模様が描かれています。

ジョイ・ラック・クラブに現れる中国人のお母さんと娘達との関係は、本を読むにつれて、母と私の関係を思い出させました。

というのは、私の母も私が小さい頃からお茶、お花、そろばん、ピアノ、習字と多くの習い事をさせ、私は毎週これらの塾を駆けずり回らなければなりませんでした。

私は時々塾をさぼって、遅くまで友達と遊びました。特に嫌いだったのが、お茶とピアノのお稽古でした。

幼なじみの美奈子ちゃんはいつも私と同じ習い事をしましたが、ピアノではなくお琴を習いました。美奈子ちゃんのお母さんがピアノより琴が好きだったからです。

「ピアノは、上流階級の趣味って感じがするから」と美奈子ちゃんのお母さんは言いました。こんな風にお母さん達の選択で子ども達が何を習うかが決められたのです。

ピアノにもお茶にもあまり興味を持てないままお稽古を続けるのは精神的に疲れるし、時間の無駄だと思えたのですが、母はやめさせてくれませんでした。

ピアノが弾けたり、行儀作法を身につけていれば、私が将来幸せになれると固く信じていたようです。

けれど、その頃私は将来の幸せにはあまり興味がなく、気楽に過ごしたい、特に週末はゆっくり過ごしたいと思っていました。

母は私にマンガ本を買ってくれたことがありません。いや、一度だけありましたが、その直後、私が理科のテストで34点を取ったので、焼かれてしまいました。

風呂の焚き口で生涯に一度だけ買ってもらったマンガ本を焼く母の姿を今でもはっきり覚えています。

私は担任の先生に「初めて買ってもらったマンガ本を読み終わるまでテストを返さないでね」と頼みました。私の願いを叶えてくれた先生の親切に感謝しています。

この物語を読んだ後、私はそれまで特別だと思っていた母との関係や体験のあれこれがそんなに特別なものではないということに気がつきました。そう思うとなんだか安心して気が楽になりましたよ。

私の体験と同じように、中国人のお母さん達は娘に過剰な期待をかけ、娘達の抵抗にあって苦しい思いをします。

娘達はお母さんを傷つけたくはないのですが、私が思うに母親の干渉から自分を守ることは自立するためには必要で、その結果母親を傷つけてしまうことは避けられないということです。

 

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