「だからって、男女の関係にならなかったとは限らないんじゃない?」
「男女の関係?」
それって……。そんな事考えもしなかった。いや、考えるのを避けた、と言った方が正しいのかもしれない。
「説明なんて要らないでしょ。……娘さんが迫ったら、彼氏は拒めるの? 優柔不断なのに。泣きながら一回だけって言って迫って……それを拒めるの? そんな事が彼氏にできる?」
「やめて!」
私は耳を両手で塞いだ。南君の言う事が心に刺さる。最も考えたくなかった事を言われて、胸が苦しくなった。そんな時、フワッと温もりに包まれる。南君に抱き締められている事に気付いたのは、数秒後だった。
「俺なら、亜紀ちゃんにそんな辛い思いをさせない。一途に想い続ける。……ズルいって言われても良い。亜紀ちゃん、好きだよ。俺と付き合って」
「みな――」
顔を上げた瞬間、キスをされた。触れるか触れないかのキスを何度もされ、それから口内に舌が滑り込んで来て深いキスをされる。
「ん、……んんっ! ふ……ぁ……んっ!」
何故か私は抵抗しなかった。こんなに優しく激しいキスをされて、気持ち良さで自分を慰めていたのかもしれない。
「亜紀ちゃんの唇、柔らかくて凄く気持ち良い」
そんな風に言われたのが初めてで、思わず照れてしまう。
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「今日一日、俺だけを見て、俺を感じて、俺に癒されて」彼氏のお見合いで心から笑うことを忘れかけていたが……
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