【前回の記事を読む】「今、地震がありましたか」「地震はありません」母の不可解な訴えは、脳梗塞の前触れだった……

第1章 脳梗塞 突然の発症と在宅介護の始まり

老健施設への入所を断られて

リハビリ医との面談の数日後に老健施設に行った。この数日間での私との自主的リハビリで、母の回復ぶりは目覚ましかった。

当時病院は母に適切な施設を紹介してくれない。介護保険が始まる以前だ。区役所に行って施設一覧表をもらい、電話をかけまくった。空きがある施設に行った。

施設担当者がソファに座った母に「立ち上がれますか?」と聞いた。母は両手を太ももにあてがいながら、一気に立ち上がった。

「お母さんの状態では入所条件に該当しません」

自宅介護に踏み出す決断

施設入所をせずに病院への通院によるリハビリを選択せざるを得なかった。住居はバリアフリー化されている2DKの賃貸マンションを借りて仮住まいをすることに。

こうして私は「一年で母の身体を元に戻す」と決意し、母との闘病生活を始めた。まさか十年以上になるとは想像もできなかった。

医療センターでの外来のリハビリも一ヶ月で打ち切られた。介助者なしでは歩けないというのに。母はリハビリ漂流者となった。

私は専門医の指導での効果的リハビリを欲していた。探し回った。

区役所にも足を運んだが「業者の紹介はできません」と言われた。「脳梗塞の後遺症をできるだけ減らすリハビリをしてくれる場所を教えてほしいだけなんです」と粘ったが区役所にはそのような情報がないのだということがわかった。

当時は介護保険制度がまだ始まっていなかったこともあり(現在はこのようなことはないと思うが)、情報としてもらった施設一覧表にはサービス内容が書かれていない。素人には選択のしようがないのだ。