口にしてから、しまったと思う。
息子の箸が、ほんのわずかに止まった。
妻の話題は、まだ慎重に選ぶべきカードだったはずだ。
しかし取り消すタイミングも失って、私は自分の器に逃げるように白菜をよそい続ける。
「……そうだね」
短い返事のあとで、息子は鍋の中を覗き込むようにして、白菜の奥に沈んでいた鶏肉を探し出す。
その視線が、ふと横に逸れた。
まるで、誰かと目を合わせたような顔をする。
次回更新は6月25日(木)、11時の予定です。
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