無尽の席(居酒屋『寄ってよね』)

無尽仲間の煙幕造、湯浅すき、世話あきなどが集まってうわさ話をしています。

「最近小森ちゃん無尽にちっとも顔を見せんな」世話あきが言いました。

「そうだね。ここんとこちーとも顔見せんな、認知症にでもなったずらか」湯浅すきが言います。

「退職したそうだけど」世話あきが続けます。

「勝は会社では中心的な人物で優秀な技術者だったんだがな。ごほん。辞めるには惜しかった。わしみたいに再任用という選択もあったと思うけれど」

「退職してからはずっと家にいるみたいだよ」湯浅すきが続けます。

「ゴホゴホ、閉じこもってしまうにはもったいない人物なんだが」

「無尽くらい顔見せるといいのに。およねさん、小森ちゃん最近来ている?」

「いいや、退職してから最近はうちには飲みにもこんよ。私もずーっと顔も見ていない」

「何だか心配だわね。今度誘わんといかんな」世話あきが心配そうな顔で言いました。

「そうだな。同級生もだんだん少なくなっているし、残ったものだけでも仲良く元気で過ごしたいものだ」

「そうね。まくちゃんもタバコやめたほうがいいよ。肺ガンになっても知らないよ」

「私もそう思うよ。やめた方がいい。娘の蘭子もタバコを吸うもんだから私はいつも怒っている。美代さんも心配している」よねさんがため息をつきます。

「ばかこけ、タバコは俺の生活の一部だ。ゴホン。それで肺ガンになれば本望だ」幕造が反論しました。「一部か本望かどうか知らないけれど受動喫煙で肺ガンになるのはごめんだよ」世話あきが言います。

「おんし(おまえ)、まあそう嫌うなよ。同級生じゃろ」

「同級生と言ったって私はまくちゃんと心中するのは嫌だな」湯浅すきも反論します。

「ゴホン。冷たいやっちゃな。ごほん。まあ、ともかく勝を一度引っ張り出そうな」