天気のよい週末、さらなる遠征飛行を試みた。手始めに千葉の房総半島の突端まで行ってみよう。子どもが生まれてから家族三人で観光に行ったことがある。

天気予報を見ると風は朝まで東向き1~2メートル。行きはよいよい、帰りはしんどそうだがこれも練習だ。

都心までは片道20キロメートル程度だったが、房総の突端までは100キロ以上ある。

下弦の月が昇る前だったが、多摩川は両側に迫る都会の灯りで黒く光り、それだけで道標になる。川から河岸までは真っ暗で人影もなく、中央付近を高く飛んでいれば見つかりっこない。たとえ気付かれたとしても、遠目でまさか人とは思うまい。夜の飛行には最適だ。

ふわりと上昇し、二子玉川にかかる二子橋を過ぎる。同心円状の街灯が囲む田園調布を左に、川崎大師の本殿を右に見て、東京湾の河口にある羽田空港が迫ってきた。駐機場には無数の飛行機が死んだように貼り付いている。

海に出ると心なしか風が強くなった。よし、この風に乗ろう。

千葉までは東京湾を横切る海底高速道路のアクアラインに沿えばいい。中央にある「海ほたるパーキングエリア」までは上空から見えないが、あとは海上の道が千葉までいざなってくれる。飛行機が羽田空港に入るときの逆ルートだ。

東京湾は意外に狭い。千葉側の入り口である木更津まではあっという間だった。家から東京湾までよりも短いくらいだった。

飛行機に乗っているとわからないが、体に感じる風が全くちがう。Y-3の両脇は終始バタバタとはためいていた。

想像したくはないが、ここから落ちたら生きてはいないだろう。そう思うといつもぞっとする。

最後は「所詮夢なんだから」と信じるしかない。

次回更新は6月24日(水)、11時の予定です。

 

👉『私が空を飛ぶ理由』連載記事一覧はこちら

【イチオシ記事】「抱き締めてキスしたい」から「キスして」になった。利用者とスタッフ、受け流していると彼は後ろからそっと私の頭を撫で…

【注目記事】生徒を下校させた後、すぐにラブホテルへ…まだ2回目の彼に、早く触れて欲しい。2人で歯磨きした後、優しくキスされて…

 

ゴールドライフオンラインは、表現者を応援するウェブメディアです。
生身の人間が紡ぐリアルな言葉だからこそ、読者の心を揺さぶる力があると確信しています。
あなたも、"表現者"になってみませんか?
ゴールドライフオンライン編集部:glo_henshu@gentosha.co.jp