【前回記事を読む】目を醒ますと、うっ、誰かいる気がする。誰だ…え、嘘だろ? どうして? 何とか目の前の存在を受け入れようとしたが…

第二章 祖父の行きし天上界

突然、天馬は上空へと上昇していく。其れに従い、寒さが感じられてくる。

「もうすぐ天界です。暫くの辛抱です」

天は義継をそう安堵させる一言を言う。もうすぐ寒さとおさらば出来ると義継は思った。そして前方に雲の塊が見えてきた。更に進むと、天界の入口の穴が目に映った。

穴はより大きく見えてきて、天界へ行く入口のトンネルであるのがはっきりしてきた。二人の乗った天馬はトンネルの中へ入った。トンネルは入った者に比べて可なり大きい。それに暗くなく、何故か明るい。

遂にトンネルを抜け、目の前の下の方に天界の景色が見えてきた。綺麗な川に緑の森、そして草原、全てが美しく見える。

向こうに、黄と赤の花園が見える。夢の世界で見たのと似ていても、もう一度気になった。

「彼処に降りてみたい」

「少しの間なら」

と、天は義継の要望を受け入れた。あの花々は天界のどの景色よりも引き付けられ、ナマクアランドの花園に似ていた。それからは、一時天馬から降りてみたり低空でゆっくり飛んでみたりした。

そして最後、低空で飛び続けている時、天が「もう急ぐ必要があります」と言った。

もう見収めかと名残惜しさを感じながらも、仕方がないと諦め、次へ進む事にした。

天馬は飛行速度を上げ、ゼウスの宮殿へと向かった。そして漸くして天馬は宮殿に着き、地上に舞い降りた。

天馬から降りた義継は、前方の宮殿と上空を飛んで舞う天馬と美しい天達を見た。夢の中の世界で見たのと、何ら変わらない。

後、天に連れられて宮殿の中に入った義継は、天主のゼウスと其の妃のヘラに会見する事になった。

前方にゼウスとヘラらしき二人が見えた。夢の中の世界で見たのと変わらない。

更に近付くとヘラの方が、

「長い道程(みちのり)、御苦労様です」

と、労を労うように優しくにこやかな顔で挨拶をした。義継は、本当は何時間も天馬の馬上に居た。

雲の中の天界に入ってからは、途中で降りて其れを楽しんで見たりもしたが、それでも乗り続けていた方が多い。

宮殿前で降りてみると、乗り続けてる時よりも気分も体も楽になった。可なり乗り疲れていたと言える。

隣のゼウスを見ると、何か言おうとしているように感じた。

「夢の中でお会いしたから、今日で二度目だな。どうかな、天界の景色を見て」

「花園が素晴らしかったです」

「そうか。そなただけでなく、誰もが黄と赤の花の咲く花園を素晴らしいと言う。実は此の天界、人の想いで作られた世界だ。儂と妻のヘラは元は地上の人間で、儂はクレタ島の大王だった。死後、何故か此の天界の住人になっていた。不思議な事だ」

「王様だったなら、どんな事を?」

義継としては、ゼウスがどんな司政をしたか知りたくなった。一見すると、元は名君だったようにも思える。