【前回記事を読む】南アフリカの砂漠には、年に一度雨が降り鮮やかな花園が出現する所がある。全て黄と赤の色彩に覆われた世界だ。
第二章 祖父の行きし天上界
遂に、天馬は二人の居る丘の上に降り立った。其れを目の前で見る義継は、更に心が魅了され囚われ続けた。白い天馬は余りに美し過ぎ優雅だった。
「此れに乗ろう」
そう言った天がまず前の方に乗り、義継は其の後ろに乗った。二人を乗せた天馬はゆったりと羽撃き、そして地面を離れた。更に、天馬は上空へと上昇していく。
上空の馬上から下を眺める義継。
黄と赤の色鮮やかな花園が広がる。見るからに可なり広い。もし歩いて其処を抜けようとしたら可なりの時間が掛かる。
どうして、こんな広い広い世界に入り込んでしまったのか。知らず知らず駆けたり歩いたりして、入っていってしまったんか。
しかし、上空から見る花園は素晴らしく美しい。でも、歩き続けて抜けるのは大変だ。天が天馬を呼んでくれたから、こうして楽して上空から花園を見て楽しむ事が出来る。
あっ、向こうに花園から抜けた所が見えてきた。
色鮮やかなナマクアランドの如き花園も遂に抜け、下の世界は緑の草原に変わった。左右の向こうには、緑の山々も見える。
下の草原を眺めると、ポツリポツリと所々に花を咲かせる草花が目に入る。花の色が分かるが、花の形は分からない。下に降りてどんな形の花か知りたいが、急ぐ所がある為、天は義継のそんな要望には応じてくれない。
向こうの山々等の景色は、今までの派手で色鮮やかな花園に比べれば地味ではあるが、綺麗だ。下の方を見ると、落ちないかと少しの不安はある。それでも、上空からの素晴らしい景色を眺め続けた。
しかし、何処へ向かっているかを知る為に前方を見るのは難しい。何せ、前に乗ってる天の体の影になってしまっている為だ。どうにか前を見ようとすると、自分の頭を右か左にずらす必要がある。そうして前方を見ようとした。
向こうの方に白い建物が見えてきた。建物の後ろには緑の森が点在している。まだ建物の形がはっきりしていない。どんな、建物だろうと予想する。
前に進むにつれ、次第に建物の形が明確になってきた。
建物は古代ギリシャ風の白い宮殿らしき形だ。更に進むと、建物の周辺の上空には、翼を持って飛ぶ天や天馬が飛び廻ってる。其の天馬は白い色をして天が乗ってる。
更に進んで行くと、天の着てる衣服もはっきり分かってきた。男の天は白色だが、女の天は白だけでなく、ピンク、黄、赤、青の服をそれぞれ着てる。そして其れらは古代ギリシャ風である。
天馬は宮殿らしき建物からある程度離れた所に降りた。そして天も義継も天馬から降りた。後は正面の建物に向かって天と共に歩んで行くだけだ。
義継は不意に上を見た。
天や天の乗った天馬が舞うように飛びかっている。其の姿は美しく優雅だ。そして飛びようも悠々たる舞いをしているように見える。
「彼らは、そなたを歓迎する為に舞っているのです。暫く見てみるのも良いでしょう。でも、いつまでもとはいきません」
義継は少しの間だけと天が言ってるのならと、暫く楽しく眺めてみようとした。