お互いにおひとりさまならば、他人から非難されることではありません。生涯の終末期に愛する人に出会うのは、奇跡と言ってもいいほどハッピーなことです。祝福して歓迎すべきです。
しかし、人の感情はややこしくて、「老いらくの恋」は許されぬことでも不道徳でもないのに、素直には受け入れられないのです。「いい歳をして」「みっともない」と思ってしまいます。私たちにもそういう思い込みがなかったとは言えません。
近年進んでいる「非婚化」の理由の1つは「出会いの場がないこと」と言われます。老人ホームでは男女の出会いの場はあります。おひとりさまが多くて恋愛の機会は多いのに、それが実現しないのは、「いい歳をして」という他人の視線を気にするからでしょうか。
高齢者が恋愛して何が悪い! 悪いのは「いい歳をして」という偏見や思い込みです。私も反省しなければいけないのです。
偶然の悪戯
自分や家族の学歴や肩書を自惚れて、聞かれもしないのに誇らしげに吹聴する人がときにいますが、そういう人は必ず嫌われます。それほど親しくない人の学歴や肩書など誰も知りたくはありませんから。
ですから、聞かれもしないのに自分から先に言い出すことはふつうはしません。こういうことは、かなり親しくなってきたら自然に語られていくものだと思っています。軽いお付き合いで話されるのは、家族の有無やどこから転居してきたかということや健康状態のことくらいです。
ところが、いつのまにか夫の以前の勤め先がある人に知られていました。夫は元の職業を、このホームの入居者に話したことも聞かれたこともありませんでした。
件の「あの値段で、美味しい料理が食べられるわけないでしょ!」と豪語した威勢のいい女性(Hさん)から「明石さんはS社に勤めていたのでしょ」と言われて、夫はびっくりしたそうです。なぜ、それがわかったかというと、こういうことらしいです。
次回更新は6月11日(木)、21時の予定です。
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