【前回の記事を読む】農家を襲った台風…銀モクセイがなぎ倒され、別の年にはビワの木も…。しかし、根っこはすべて元気な状態だった——

第一章「柿」栽培への新たな挑戦

2 無肥料栽培への挑戦

水田での柿栽培を再考する

水田の土壌は、手で触るとねっとりしている。いかにも粘土質といった感じである。粘土は、表面が負に帯電しており、植物の栄養素のほとんどが保持できるため、保肥力が非常に高い。なお、五大栄養素のうち、リン酸だけがマイナスイオンであるが、鉄やカルシウム等の金属と化合物を作り、余り移動しないとされている。

柿栽培にとっては実肥といわれるリン酸の吸収は、大きな関心事である。リン酸は、柿の根が直接吸収する量は極わずかで、ほとんどは菌根菌の助けに依存している。柿の木の根が、菌根菌とうまく共生するには、周辺の環境条件が大変重要で、栄養分が不足気味である必要がある。水田土壌は、栄養満点であるから、柿の栽培には適していないことになってしまう。

 

父親の言ったとおり、鈍感なだけなのだろうか。それとも、我慢しながらも、いろいろサインを出しているのだろうか。たとえば、病害虫が発生し易いとか、柿の実が柔らかくなり易いとかは、そのサインのような気がする。

リンゴ栽培と肥料 〜リンゴ畑も疲れている〜

数年前の岐阜新聞だと思うが、飛騨のある組織の理事長が、リンゴ栽培の近況について記事を寄せていた。

最近は、良いリンゴがとれなくなったことを我々団塊の世代の子供達の世代になぞらえて、ロストジェネレーションと表現したのだ。栽培を始めたころは、良いリンゴを収穫できたが最近は土壌が疲弊してきたのか質の良いものがとれなくなったと嘆いていたという内容だったと記憶している。

リンゴも柿と同じように明治時代から栽培され始め、本格的に栽培されたのは、戦後になってからだと思われる。米に代わって果物が栽培され始めても、米時代の余韻がどうしても残っており、肥料を多く投入してしまうのであろうか。水田は、水を入れることにより肥料の量等がある程度リセットされるが、樹園地は、ほとんどリセットされていなくて結果的に、土壌中の肥料が過剰になってしまったようだ。

当理事長も、何かがおかしくなってきていることを敏感に感じとってロストジェネレーションと表現したものと思われる。この記事を読んで、リンゴにも柿と同じことが起きているのだと感じた。私なりに分析して、それは、土壌中の化学肥料が過剰になっている状態だと判断している。

私は、夏の二ヶ月間を除き毎朝リンゴを食べている。一日一個のリンゴは医者を遠ざけるという格言を信じて毎日食べておりもう二十年経っている。

そして、毎日リンゴを食べながら、青森県や長野県のリンゴ農家の人達も同じようなことを思っているのではないだろうかと心配している。そして、あの青森県のリンゴ農家の無肥料・無農薬栽培は、広まっているのだろうかと気になってもいる。