――マーカス、負けちゃったよ……。

優勝記念のつもりで我が家にホームステイしているビーグル犬。どうしよう……可南美。今更、返すなんてできないよ。ケージを開放すると、マーカスがじゃれついてきた。

思わず抱き寄せ、ベンチ前に整列した明日高ナインの悔し涙にもらい泣きしながら、この夏、存分に楽しませてもらった彼らに感謝をした。

「――最後まで自分が投げ抜いて勝ちたかったです。悔しいですが、力は出し切りました」こうして、泣けるコメントを残し、明日高エースの夏は終わった。

ぼんやり閉会式を眺めていると、画面にPM5:00の表示がされた。

あっ! 忘れるところだった。マーカス、初めてのディナータイム。慌てて、朝と同じ要領で準備に取り掛かった。

すると、よっぽど腹を空かせていたのか、今度は尻尾を振り、ジャンプしながら足にまとわりついてきた。

――ごめん、ごめん、待たせたね。

ケージに連れて行きエサ入れを置くと、またしても鼻息荒くフードにかぶりついた。そっと扉を閉め様子を見る。……やっぱり、あっという間に平らげた。

――相変わらず早いねぇ、ゆっくり食べないとおデブになっちゃうよ。

引きこもり以来、すっかりたるんでしまった己の体型を顧みず、マーカスの肥満を心配している自分が可笑しかった。

食事後、一〇分もしないうちにウンチをした。オシッコは打率一割だけど、さすがホームランバッター、またしてもトイレに命中した。何て可愛いヤツ。

「ところで、お前の毛色は何色?」気になって調べると、マーカスの毛色は一般的なトライカラー(三色)、ブラックタン&ホワイトと呼ぶらしい。

私は興味が湧いて、テレビを消し、久しぶりにパソコンに向かった。

どうやら、いまはレモン&ホワイト(黄色と白)が一番人気で高価らしいが、その違いが私にはまったくわからない。

更にビーグル犬の飼い方などを夢中で検索していると、いつのまにかマーカスがベッドで眠っていた。

試し読み連載は今回で最終回です。ご愛読ありがとうございました。

 

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