美大のスクーリングでのこと、講師でこられた当時の教授が、私の素描スケッチをパラパラと見て、しばらくして一言「あなたは、動いているモノに反応しているね。繰り返しているモノ、並んでいるモノに反応して、描きたい好奇心が湧いているね」とおっしゃってくださいました。

その一言で、これまで自分の中に湧き起こる絵が描きたい衝動にかられる、この気持ちに対して、一瞬にして得心が行き、整理ができたのです。

なぜ私が、絵が描きたくなるのか理由がわかったのです。私にとって美大での学びの中で最も納得のいく忘れられない言葉でした。

その視点で見ると、私はいつも同じリズムで動いているモノに反応していました。

それが「いいなあ」と思っていました。

山々が、深い藍色から少しずつ変化しながら、連なっている風景、窓のしずくが点々と流れていく様子、ススキがなびいている風景、雲がずっと連なってなびいている風景、波が細かく波打ち際に寄せてくる様、波のうねり、煙の動き、炎のゆらめき、風になびく木々、桜が散る様……これまで油絵で描いてきた作品は、動いているモノに反応して描いてきていました。

自分の体が、自分の感性に反応して、絵を描いていたことに気づけて嬉しく思いました。美大の通信教育でお世話になった佐々木先生(福岡のスクーリングでお世話になりました)。

家のこと、仕事のこと、美大のことといっぱいいっぱいでしたが、充実していました。

その私の描きたいエネルギーの源泉を見つけてくださった佐々木先生には感謝に堪えません。もう退官されているご年齢と思います。先生に本当に感謝いたします。私のことなど覚えておられないことと思いますが、先生の鋭い直観力で、私は絵を描くことをあきらめずに、今も夢中で描き続けています。ずっと絵が描きたい人間の私がいるのです。

自分の見え方が、誰もが同じように見えるのだと思っていました。それぞれが違う感性を持っていることを知ったのも、その教授の一言です。

モノがリズミカルに並んで見えるのも、それぞれの感性で感動が違うのですね。そこにセンスの違いが生まれてくるのです。受け止め方の違いなのです。

 

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