「よかった」

「早く来たのが良かった」

ここ重要だ。早期対応は、闘病の必須スキルだ。

私は学んだ。再燃は“失敗”ではない。

イベントだ。対処するイベント。

ゲームで言えば、ランダムエンカウントだ。

夜、ログに書いた。

【再燃:軽度→対応→改善】

この3段階を書けたことが嬉しかった。

悪化だけで終わらなかった。

焦らず対応まで書けた。

鏡を見る。

少し丸いが顔色は悪くない。

私は思った。

闘病は、0か100かじゃない。

上下しながら、全体として前に行く。

それでいい。今はそれが支えになる。

カレンダーに丸。

再燃対応、完了。

自分の闘病経験値が上がった気がした。

第十部:家族というチームメンバー

闘病は個人戦に見える。

だが実際は、チーム戦だ。

私は退院してから、それを何度も実感していた。主治医、看護師、薬剤師、管理栄養士。

そして一番大切な家族。

特に家族は、常時接続のサポート役になる。

ありがたいが、時々うるさい。

朝、血圧を測ろうとすると、母が先に言う。

「測った?」

「今やります」

「薬は?」

「今飲みます」

「水分は?」

「今飲みます」

母の扱いが子供みたいだ。

「先回りやめてください」

「先回りが仕事」

元・介護職は強い。

食事も管理モードだ。

「それ塩分いくつ?」

「0.9」

「合格」

「テスト形式なんですね」

「毎日テスト」

合格点は嬉しいが、気が抜けない。

だがある日、衝突した。

私は減塩カレーを作った。

かなり工夫した。だし、スパイス、無塩トマト。自信作だった。

「どう?」

「……薄い」

「即答」

「素材はいい」

「フォローが雑」

努力作が3秒で評価される悲しみ。

「でもね」

母が言った。

「続く味じゃないと意味ない」

それは正論だった。

闘病食は、芸術作品ではなく継続作品だ。継続できなきゃ意味が消えていく。

次回更新は6月29日(月)、16時30分の予定です。

 

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