回復の証拠を見る。
これは自分で作った“精神のバックアップ”だ。
診察室で、主治医はモニターを見てから、私を見た。
「少し戻しましたね」
やはり予想通り。
「どれくらいですか」
「悪化まではいかない」
「便利ゾーンですね」
「注意ゾーンです」
新しいゾーンが増えた。
「原因、分かります?」
「風邪ひきました?」
「2週間前に軽く」
「それです」
即答だった。
「え、そんなことで?」
「そんなことで動きます」
免疫系の病気は、ちょっとした刺激で揺れる。
「治療、戻しますか?」
私は聞いた。
「少しだけ」
ステロイドが微増した。
「また丸くなります?」
「少し」
「月齢調整ですね」
「表現がうまい」
褒められたくない分野だった。
落ち込むかと思ったが、思っていたより意外と冷静だった。
だが、理由は分かっている。予習していたからだ。
再燃の可能性は説明を受けていた。ログも読んでいた。他の患者の記録も見ていた。
想定内は、ショックを小さくする。
帰り道、母に報告した。
「少し戻った」
「想定内」
同じ言葉を言った。
「便利ですね」
「現場用語だから」
強い。
その夜、少しだけ落ちた。
人間だから仕方ない。
私はルールを決めている。
落ちるのは1日まで。
2日目からは行動する。
2日続くと、自分自身が落ちる沼から抜けられなくなる。
翌日、生活を微調整した。
・散歩を少し短く
・水分管理を見直す
・睡眠を優先
・刺激物カット
やることがあると、人は持ち直す。
闘病仲間のグループチャットに書いた。
ちょい数値戻り
あるある
階段は一直線じゃない
名言が飛んできた。
階段。それはいい表現だった。
3日後の再検査。
数値、微改善。
「反応してます」
主治医が言った。