リードは使っている間、ずっと居場所を指定し続ける道具です。リードを持って歩く基本姿勢では、飼い主の左後ろか右後ろに犬がポジションをとることになります。
狼が原野を移動するイメージのように、犬の群れ移動の形は矢印形なので、その形を作るために居場所は自然と決まります。
矢印形の移動の形は安全の程度によって広がったり縮まったりしますが、リードを持つ長さでこの間隔を調整します。
散歩とはテリトリーの移動のことですが、飼い主の先導によって移動中に出会う全ての刺激(物や音)や対象(人、犬、車など)に、無視すべきか攻撃すべきかを判断する主導権を持って進みます。
先頭の飼い主が無視をしてすれ違うときは安心の合図なので、犬はすれ違う人や自転車や犬に吠えて攻撃することもなく、散歩中のリードの引っ張りや興奮行動は自然となくなります。
犬は居場所を指定されることで、集団内での役割が決まり落ち着きます。それぞれの役割と関係性が決まることで、安心して飼い主との関係性を深めていきます。
この基本トレーニングで最初から最後まで何度も繰り返しているのは、環境を整備することです。より具体的な整備を提案するために家庭訪問レッスンをしています。
環境整備の中には「飼い主の犬への接し方」が入りますが、間違った接し方は、犬の居場所と役割分担に混乱を与えます。
初回の訪問カウンセリングでは、飼い主の接し方が犬に与えた影響について詳しく説明するため、「自分の間違った愛情やしつけが犬を不安にさせていたと知ってショックです」と涙ぐむ方もいます。
犬の本来の社会構造は規則性が高いため、擬人化した扱いや愛情が甘えとなってできた関係性の曖昧さが、犬を葛藤させてしまうのです。
しかし、居場所と役割が明確になると、犬は飼い主を群れのトップとして尊重し、飼い主もまた犬を尊重するという絆を作ることができます。
犬は飼い主との関係を作るために服従性を発揮し、その服従性によってコミュニケーション力が引き出される、つまり発達するのです。
これは犬という動物としての習性が最も発揮されるときで、その活動は生き生きとした美しいものです。
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