コラム 長所を見てますか~徂徠訓
『徂徠訓』をご紹介します。
荻生徂徠は江戸時代の儒学者です。筆者はこの言葉に出会って、「自分は全くできていない」と心に残りました。すべての上司に必読です。
「一、人の長所を初めより知らんと求むべからず。人を用いて、初めて、長所の現はるるものなり。」
仕事をさせてみると、気づかなかったいいところが見えてきます。
「二、人はその長所のみを取らば、即ち可なり。短所を知るを要せず。」
長所を「褒めて伸ば」します。短所を直そうとすると、長所がなくなるということもあります。
「三、己が好みに合う者のみを用ふるなかれ。」
自分に反対する人を味方にするぐらいの度量がほしいです。社長の周りをイエスマンで固めた会社は危ういです。
「四、小過を咎める用なし。ただ事を大切になさば可なり。」
たとえば誤字脱字などではなく、一番伝えたい内容が読んだ人に伝わるかという目で見る必要があります。
「五、用ふる上は、その事を十分にゆだぬべし。」
信頼して任せたほうが育てるうえではいいです。「責任はとるから」と付け足すと、さらにいいです。
「六、上にある者、下の者と才智をあらそふべからず。」
部下と張り合うのはやめましょう。どんな案でも上司がそれより「いい案」を出すというのは、部下のやる気をなくさせます。
「七、人材は必ず一癖あるものなり。器材なるが故なり。癖を捨つべからず。」
個性ある人の集まりが強い組織です。有能な人こそ癖があります。多様性の時代です。
「八、かくして、上手に人を用ふれば事に適し、時に応ずる人物、必ずこれにあり。」
このように人をうまく活かせば、大事なときに才能を発揮して、変化にも対応し、これに応える人が出てくると言っています。人材育成の基本方針にしたいです。
「九、小事を気にせず、流れる雲のごとし。」
長期的な視点で育てるというのは大事です。多様性の現代にこそ使える教訓です。
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