「おい、今日はどうだった」

コートを着て社長室から偶然出てきた宝木社長に声をかけられ、悠真は両手で軽い万歳のポーズを取った。

「焦ることはないさ。東京にはダイヤモンドの原石が山のように眠っている。俺たちはそれをただ掘り起こすだけでいいんだ」

社長のいつもの口癖だった。彼はそうつぶやくと右手をあげてお疲れ様の合図をして玄関に向かった。

「原石のダイヤ? 磨くお金はあるんですか?」

悠真はいつも通りつぶやき返したが、社長に届くことはなかった。

ノートパソコンの横に置いた缶コーヒーを一口飲んで資料の整理を始めた。しかし彼は実際に焦っていた。

本格的にスカウトに取り組んで2年以上の月日が流れていた。もうのべ300人以上に実際に声をかけたことになる。

20人近くは事務所まで来てもらったが、悠真がスカウトをして今も所属しているのは3人だけだ。

彼にとっての光るダイヤモンドはまだ見つかる予感さえなかった。

 

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