「最近、ずっと笹川さん、忙しそうですね」

「はい、すみません。いつも夜遅くまで待ってくれていてありがとうございます。僕が帰ってくるより先に、寝ていてもいいですから」

「私が笹川さんとの時間を過ごしたいから待ってるんです」

布団に入り、自然と手を繋ぐ。前まではお互いに少し遠慮していたスキンシップが、随分と自然にできるようになったと思う。

「忙しくて気持ちが荒んでも、家に帰るとくるみさんがいるって思うと、1日頑張れるんですよね」

「……支えになれているなら、うれしいです」

抱き寄せられ、互いの背中に腕を回す。互いの体温を感じると、愛しさがより募る。

「そうだ。今度の土日、空いていますか?」

「私はいつでも平気です」

「モネ展に行きませんか?」

「あっ、ネットの記事で見ました! 行きたいです! でも、疲れていませんか?」

「僕は平気です。こう見えて意外と体力はありますから」

笹川に髪を撫でられると、心地よい。くるみは目を閉じて、その手つきを感じる。これほどまでの幸せを自分が経験できるとは思っていなくて、笹川と思いが通じ合ってからはずっと夢の中にいるようだった。

「そろそろ、寝ましょうか」

「……はい」

ただ1つだけくるみの心に引っかかるものがあるとすれば、それは笹川がくるみに対して、『そういうこと』をしようとしないこと。

(あんな話をしちゃったから、笹川さんもやりづらいよね……)

そうは理解しているもののくるみの中では好きな女性を目の前にしたら、それもこうして一緒にベッドに入ったら、我慢できずに手を出されるものなのではと思っている。

(……私に、女性的な魅力がないから?)

次回更新は5月21日(木)、11時の予定です。

 

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