静香は家に戻ると、母の佳子に亮介が承諾したことを告げた。佳子はちょうど朝食の支度をしているところで、静香はテーブルを整えて配膳を手伝った。

父の静一は食卓に座り新聞を読んでいる。居間のテレビが点けっぱなしになっていたが、見る者はいない。

「お父さん、テレビ消していい?」

呆れたような顔をして静香が聞くと、静一は顔を上げて頷いた。

静香はテレビを消すとそのまま席に着いた。上村家の朝食が始まる。塩鮭を中心とした和食だが、食卓には牛乳が並ぶ。上村家は毎朝欠かさず朝食に牛乳を飲んでいた。

しばらく3人は黙々と食べていたが、思い出したように静一が佳子に言った。

「今日は午後、組合に顔を出してくる。遅くはならないよ」

「夏祭りの打ち合わせ?」

「ああ。協賛金が集まらなくなっていてね。集客効果を上げるイベントを企画して盛り上げようということになった。人が集まるようになれば協賛店もまた増えるかもしれんからな」

「お父さんたちがイベントを考えるの?」

「いや、青年会に何か企画してもらうつもりだ。今日はそんな話になると思う」

「静香たちの出番ね」

佳子が言った。静香は内心参ったなと思った。

イベントを考えるのは面白そうだが、アイデアを出しても長老たちの説得に苦労するからだ。

「まあ、やってみるけど。あんまり期待しないでね。そもそもそれほど予算もないことだし。あの石頭の理事長を説得するのが大変なんだよね」

「まあ。家でもそんなことは言わないの。外でうっかり口にしたら大変よ」

佳子は静香を窘(たしな)めた。

 

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ひだまりの暖かさが染みる中、海の見える公園で昼食を食べた。紙袋からハンバーガーを取り出して、冷えたコーラで流し込む……

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