【前回の記事を読む】ASDの特徴としてこだわりの強さがある。特定の物事に没頭すると、離れることが極めて困難に。無理にやめさせると激しい癇癪を…
第1章 発達の多様性を知る:特性の理解
ADHDの不注意:集中困難と忘れやすさ
ADHDの子どもに見られる「不注意」は、単に「集中力がない」では片づけられない、より深く繊細な問題です。
たとえば授業中、先生の話を聞こうとしても、窓の外の鳥に気を取られてしまう。
宿題や手伝いを始めても、途中で別のことに気を取られ、手が止まってしまう──そんなことが日常的に起こります。
さらに、忘れ物が多かったり、物をなくしやすかったりといった〝小さな困りごと〟が積み重なり、自己肯定感が削(そ)がれることもあります。
こうした特性の背景には、「前頭前野」と呼ばれる脳の領域が関係しています。
ここは、必要な情報に集中し、不要な情報を遮断する「注意のコントロールセンター」ですが、ADHDではその機能がうまく働きにくい傾向があります。
また、不注意は「実行機能」とも関連します。
計画を立てる、優先順位をつける、時間を見積もるといった〝段取りスキル〟が苦手なため、宿題に取りかかるのが遅れたり、片付けが終わらなかったり、遅刻が続いたりします。
しかし、これは本人の努力不足ではなく、脳の回路に小さな〝設計の違い〟があると捉えることが大切です。
必要なのは、「できない理由」を責めるのではなく、「どうすればできるか」を一緒に考える視点。その切り替えこそが、子どもたちの未来を開く鍵となります。