もう一度苦笑し、書店を出た。電気ブランと缶ビールの入ったレジ袋を籠に入れ、サドルに腰を下ろすと、遠くに夕日を浴びた赤城山を見ながら、「好きなこと? フランス文学か?」と不図思ったが、三度苦笑して、五時に三人、勉強に来る中学生のため、88歳の母と二人暮らしの二階家に向かって、ペダルを漕ぎだしたものだった。

ところが、それから、ともかくフランス語をまた、やってみるか、と時々思うようになり、ある時、押し入れの奥にある段ボール箱にある、学生時代のフランス語の書籍を取り出した。私は大学院を除籍になってから、「中継地」の実家を除くと、仕事が変わるたびに、五回、引っ越しして、また実家に戻っていた。

最初は、律儀に本棚に並べていたが、途中から読まぬ本は段ボール箱に詰めたままになっていたのだった。

比較的、簡単と思われる、モーパッサンの短編集を取り出し、一ページ、とにかく黙読してみたが、分からない単語の方が多く、諦めるしかなかった。それでも、何か心に引っかかっているので、会話学校に通おうかとも思ったが、私の住んでいるM市には、そもそもフランス語を教える教室が、2校あるのみで、1校はカナダ人、もう1校は日本人の先生で、結構、授業料も高い。

ところが、不図、思いついて、公民館のサークルを探してみると、市内の私の住んでいる地区と正反対のところにある公民館にあるサークルが、月に二度、フランス語の学習会を開いていることを知った。サークルの責任者に電話すると、講師はフランス人だとのこと。しかも、月、2100円の会費のみだという。即、その次の会の見学を申し込んだ。

次回更新は4月27日(月)、11時の予定です。

 

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