【前回の記事を読む】「母に触ることが恐い」とか言って、兄は介護に一切ノータッチ…そもそも2人の関係は、父が亡くなってから壊れていった。

〈健常者に近かった頃の母〉

6 確執

社会一般常識からどう考えても、母の面倒をみることは兄の役目ですが、それを私に押し付けてきたのです。役所でもそのように考えたのでしょう。兄に何度か接触したようですが、何も変わりませんでした。

手術を受け歩行可能になった母を見て、私に「お前はバカだ、せっかく施設に入ったのに、そこから出すようなことをした」と言い出す始末。それを聞き、私は怒りを通り越し、兄という人間を情けなく感じました。

そして「お前は本物のマザコンだ」とも言われました。そう言われたときはむきになって反論しましたが、現在は「そう思うなら、それでいい」という心境です。

もし、兄が母の面倒をみたとしたら、在宅希望の母の願いは叶わなかったことは確実です。母はおそらく老健から特養、または有料老人ホームに入れられて、歩行もできずに一生を終えたことでしょう。

老健はリハビリテーションを目的にしており、在宅復帰を目標に短期で入居し、終身利用ができない施設です。これに対し、特養では寝たきりの利用者や認知症などの要介護者の生活を支援するサービスを提供します。中度~重度の入居者が主であり、一度入居すれば終身利用も可能であり、有料老人ホームも同様です。

母は自分の子供たちの不仲に気づいて悲しんだようですが、こればかりはどうにもなりません。仲良くやっていくことは不可能であり、現在は縁を切って顔を合わせることもありません。気分は清々していて、後悔はありません。