孤独になるな
ここは町の葬儀場です。読経の声が聞こえて来ます。
「あーあ、また一人逝ってしまった。これで同級生で亡くなったのは三人目だ。
田場ちゃんとは一緒に釣りにも行ったし、旅行にも行ったのにな。
何だか寂しくなるなー。あれだけタバコはやめろって言ったのに『いや俺は肺ガンにはならん』なんて言って。
これで飲みに行く相手もいなくなってしまった。
もっと本気でタバコをやめさせれば良かった。でも田場ちゃんが死んだなんて何だか信じられないな」
小森勝は離れたところでがっくり肩を落としている。
遠くからそんな小森を眺めながら、
「何だか小森ちゃん元気なさそうだね」
同級生で町の喫茶店を営んでいる湯浅(ゆあさ)すきが言った。
同じく洋品店主の世話(せわ)あきが
「そうだねー。小森ちゃん亡くなった仏さんの田場さんとは仲良かったからね。しょっちゅう一緒にいたからね。きっと大分堪えているよ」
「先日もさきちゃんが亡くなったし、私達の仲間もだんだん少なくなっていくね」
「うん、そんな年齢だから仕方ないけれど何だか寂しい」
「でも残り少ない人生なんだから本当はもっと楽しまなくっちゃ」
「そうよ。すきちゃん、そうだ今度旅行でも行こうか」
「いいね、うん行こう、行こう。できればみんなを誘って」
駅前で小森勝と石和弱が出会いました。
「おはようございます」
「うん。あ。おはよう、石和君」
「小森さん最近元気ありませんね」
「うーん。田場君が死んでから何となく元気出ないんだ」
「そうですね。小森さんと田場さんは親友だったから。本当に残念でしたね。わが日報社にとってもとても大きな痛手です」
「まさかこんなに早く逝ってしまうとは思わなかった。タバコが原因だろうな。こんな事ならもっと真剣にとめれば良かった。そうだ石和君、君もタバコ吸うだろう。やめなければいけないよ」
「そうですね。田場さんのこともあるし、やめなければいけないと思いますが、ストレスがあるとついつい吸ってしまいます」
「田場君みたいに君達まで失う事になったら私は耐え切れないよ。本当に身体を大事にしてくれよ」
「申し訳ありません。ご心配かけて。では、失礼します」