わいわいガヤガヤ……、緊張が解けたのか、帰り道では、もう葬儀なんてなかったかのように、皆しゃべくりながら己の将来を打ち明けながら歩いていた。

これから銘々(めいめい)、それぞれがそれぞれの道を歩んでいくことになる。誰がいつ、どういう運命をたどるかわからない。

僕らはもう、そういう「人は人」という〝我関せずモード〟に入っていた。連帯や共同という集団からの決別を意識しなければならない時期にあった。

だから、そのはじまりとして、彼の自殺に関してすでに対岸の火事というか、他人事として感じようとしていたのかもしれない。

もう二度と会うことはないだろうという確信のなかで、「また、いつかどこかで」と、僕らは別れていった。

表向きは受験に失敗したからということになっていたが、真意はわからなかった。

見た目には〝没個性〟でも、最終的に自分を閉じるという選択を強いた彼の信条は、かなりのこだわりがあったのかもしれない。

くどいくらい述べてきたように僕の高校時代は暗く、流行の音楽はよく聴いていたものの、クラブにも属さず、何かに打ち込むこともなく、ゲームセンターに通い、漫画を読んで、アニメを観て、適当に友だちとダベるだけの毎日。

成績がどんどん降下するなか、惰性で時を過ごし、気付くと受験シーズンを迎えていた。

そんな怠惰な男子高生が、医学部を目指すという暴挙に出た。

 

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