義継はパジャマから普段着へと着替えた。上空は寒いけど、此れ位着込めば大丈夫かな。

ふと、義継が目の前の天を見ると、彼は何か言いそうな感じだった。顔色を見ると、そんな雰囲気に感じられた。

「今から私が窓から外に出て宙に浮かびます。其の時、窓から背中を外に向けてください。天馬に乗せるまで、そなたを持ち運ばねばなりませんから」

「分かりました」

言おうとしたかったのは、天馬に乗るまでの説明だったようだ。

義継を背中から抱く天は、宙に浮かぶ白い天馬の方へと飛んでいく。義継は翼をゆったりと動かす天馬の方へと近付いていき、そして天は義継を天馬の背中の上へ乗せた。其の後、天は義継の後ろに乗ると天馬のたづなを持ち、前方へと飛行させた。

天馬に乗った義継、やはり上空は涼しく感じた。それで体が冷えてしまわないかと気になるが、気がかりは、もう一つある。

「地上の人間から見られていませんか?」

「それなら大丈夫。我らは透明になっていますから見えません。安心してください」

「そうですか。それで」

「まだ何か?」

「体が冷えて凍らないかと」

「心配いりません。誰しも天界までは持ちこたえられますから。それでも、寒くてしょうがないなら、高さを落としますよ」

「なら、そうしてください」

天馬から下に見る世界は、ビルと家屋が立ち並ぶ街から海へと出た。単調な海の風景は続いていくが、突如、前方に島が見えてきた。南の方へ飛んでいるのは分かるが、あの島は何だろう? 伊豆大島か三宅島か他の伊豆の島々か、分からない。

こうして幾つかの島々を通り過ぎてゆき、再び下の景色は海のみの単調なものとなった。だから見るのも飽きてくる。

 

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