更に、義継の話は続いていく。征一の方はどんな話が聞けるのかと、耳を傾ける。
幾日か過ぎたある日の早朝、
義継は目を醒ました。余りに早くまだ薄暗いので、明かりを点けてデジタル時計の示す数字で時間を知る。
夕方ではなく朝か。まだ早いな、もう一寝入りするか?うっ、誰か居る気配がする。誰だー。
目の前に半透明の人物が見えてきた。始めは薄く見えていたのが、次第に透明さが無くなり完全に実体化した。
夢の中の天の世界で見た天ではないか。どうして? 人間の形をしてるが、翼が付いているなんて、生物の常識を外れてる。夢の中の世界なら信じるが、本当に現実の世界なのか? 目の前の存在を信じるのも疑問だ。
「何日か前、夢の世界で会いましたね?」
目の前の天は、そう確かめるように言う。
天の背中に白い大きな翼が折り畳んだまま付いている。着ているのは、古代ギリシャの白い衣服。そして足には、古代ギリシャのサンダルを履いていた。
「何故、夢の世界の事が分かるんですか?」
義継には、目の前と今までの何もかもが不思議だ。尋ねたくもなる。
「我々天の者には、人々の夢の中の世界に入る能力があります。始めから本当の世界では、人々は受け入れてくれません。此れから天馬に乗って天界に行くから、暖かい服装をしてください」
天の男の着ている物は、半袖に膝上のワンピース状の衣服だ。
「そちらは空の上でも、寒くありませんか?」
「天の者は、人間程に寒さを感じません。気にしなくてもいいです」此の天、強い口調だ。きつく感じる。
「そうですか」
義継は、何とか目の前の存在を実在する者として受け入れようとする。もし受け入れなければ、夢の中の世界だと思わざるを得ない。それでも頭の片隅には、夢の中に居るのではという疑いがある。