【前回記事を読む】天主のゼウス・妃のヘラと対面——「実は、かつて“地上の人間”で国を治める王だった」
第二章 祖父の行きし天上界
「まあ此れを聞いた地上の者は、そうびっくりするのは当然だ。神と思っているからな。それでも此の世界に身を置いた始めは、そう思ってなかった」
「それじゃあ、いつから神と思うように?」
「人間であるなら、いつかは命を終える。私は命を終えた後、此の世界に身を置いていた。其れは妻のへラも同じだ。
ヘラに聞けば、儂が亡くなった三年後、同じく此の世界に身を置いていた。それからの私は地上の人間を此の世界に連れてきた。そして知った。人々は此の世界を神の世界とか天の世界とか呼んでいた。それで二人は悟った。此の世界は人々の想いで作られた世界だと。つまり此の世界で私もヘラも神にされていたのだ」
「人々の想いで、こんな不思議な世界が作られるんですか?」
義継には夢の中の世界だとは言えど、半信半疑で気分的には受け入れ難い。
「不思議だが、そうだ」
ゼウスはそう言い終えると、ヘラと共に色が失せるように白ばんできた。同時に周囲の風景さえ白くなっていく。そして義継の目に映る全てが白一色に変わった。更に、今度は白一色の世界が黒一色の闇の世界へと変わっていく。そして闇の世界になれば心が不安になり、目を醒ました。
目を開けると、薄暗い早朝の部屋の布団の中で寝ていた。薄暗いから、始めは朝なのか夕方なのかと判断に迷った。部屋には針で時間を示すアナログ時計と数字で示すデジタル時計がある。其のデジタル時計の数字の御陰で今が朝だと分かった。今まで征一に語り続けてきた義継の不思議な体験は、此処で終わった。
「征一よ、此の話にはまだ続きがある」
「続き……? どんな事が?」
征一は、祖父の義継がまたどんな話をするのかと興味が湧いた。もしかして、其れは自らの想像の及ばない事なのか?
「あれから何日たっただろうか? 日記さえ書いてないから過ぎた日数も分からない。それでも、一週間も過ぎてなかった」