「それで……くるみはどうするつもりなの?」
「わかんない。まだ決めてないんだけど。でも、こんなこと言ってくれる人なんてそうそう出会わないなとも思うし」
「うん、そうだね」
「私が笹川さんのこと、好きなのは事実なんだ。会うたびに自分にはない考え方をくれる人で、一緒にいたら楽しいだろうなっていうか、私ももっと違う世界を見てみたいって思えるの」
「確かに、言ってることは結構突拍子もないけど……くるみもそれで、自分のキャリアを見直せるいい機会になるなら、まぁアリといえばアリなのかな?」
「ね。もう少しちゃんと考えてみる」
「うん。それがいいと思う。転職するならあんまりブランクを空けるのもよくないしね」
「そうだね。じゃあ、そろそろ寝ようかな。理子は、ライブのお誘い頑張って」
「うん、ありがとう。じゃあおやすみ」
「おやすみ」
くるみとの通話を切って、そのままLINEを開く。あまり深く考えると文章を推敲したり、余計なことを考えそうなので、理子は思いきりでメッセージを打ち込んだ。
『ねぇ、土曜日空いてる? 夕方なんだけど。一緒にアイドルのコンサート行かない? 一緒に行こうって言ってた友達に、行けなくなったって言われて……』
そう送って、理子も寝る準備をする。歯磨きをしながらYoutubeを見ていると、すぐにLINEの返事が来た。
『何時から?』
『18時から』
『いいよ、行く』
(まさかのOK……!?)
『え、いいの?』
『土曜の夕方以降は空いてるから』
(こんな、あっさり……?)
理子は思いがけない展開に、動揺を隠しきれないでいた。