歌集「旅のしらべ・四季を詠う」より三首

温羅（うら）伝説と鬼ノ城

その昔、朝鮮半島の百済（くだら）から温羅と云う者がやって来た。 身丈（みのたけ）は四メートルを超え、両目は、らんらんと輝き、髪や髭（ひげ）はぼうぼうと赤く燃えるようであった。 性格は荒々しく、強暴そのもの。温羅は瀬戸内海を通る船を襲い積荷を奪ったり、婦女子をさらったりした。 辺（あた）りの人々は恐れおののき、大和（やまと）の大王に訴えた。