溜めに溜めた鬱憤を抑えながら言ったつもりだったけど、どうやら怒っているように聞こえたらしく西海が変なものを見るように眉を寄せた。なんでそんな顔をされなきゃならないんだろう。変人なのは西海のほうなのに。

とはいえ、これでは言いたいことも伝わらない。一度深呼吸をして冷静になろう。

「盗聴するくらいなら、二人と一緒に並べばよかったのに」

そしたら私は一心不乱に盗聴している男の隣にいる必要はなかったのに。

「ダブルデートに来たまではよかったんだが、一彦の態度がグループで遊ぶときと大して変わらなくてな、南と二人きりのときの会話が聞きたくなった」

「本末転倒じゃん」

「これならダブルデートをセッティングするより、二人のデート現場で偶然を装って遭遇するほうがよさそうだな」

「じゃあ、私はもう要らないね」

「デートスポットに俺を一人で放り込む気か。俺の彼女は随分と薄情だな」

彼女。その単語に皮肉っぽく鼻で笑う。

気持ちとしては彼女というよりは共犯者だ。

 

👉『親友を推してるヤバいやつの彼女』連載記事一覧はこちら

【イチオシ記事】彼は私を強く抱きしめ、愛していると言った。私には夫も子どももいるのに…。それからおよそ30年、彼との不倫関係が始まる

【注目記事】「なぜ投身前に見つけてあげられなかったのか?」自問自答は果てしなく続き、何度も悔やんだ