「そりゃあ部員が多いからな。部員が多ければそれだけで人数に応じたポイントをもらえるんだよ。あと大会で優秀な成績は残せてないけど、学校や地域のイベントに参加してボランティア活動とかでポイントゲットしてるからそのおかげ」
「ああ、そうだったのか」
さすがに学校側も人気のあるメジャーな部活を廃部に追い込む気はないらしく、成績が収められなくてもポイントを稼ぐ救済措置のような手段はあるらしい。
「部活勧誘期間が風物詩になるのも納得だな。どこも部員が欲しいわけだ」
誰彼構わず勧誘するのはそういった背景や魂胆があったから、ということだ。
「まっ、部費は全然もらえてないけどな。つか、サッカー部の話はどうでもいいんだよ」
涼は「えーと」と、用紙の束から候補となりそうなビラを引き抜く。
最初から夜深に紹介するつもりでいたのか付箋のついた数枚が選ばれた。
「エクストリームアイロニング部にフィンスイミング部にモルック部、それから……」
「マイナー過ぎてどれもこれもピンとこないぞ」
テレビ番組やネット関連で一度か二度見たことがあるかどうかというくらいマイナーな競技ばかりである。よく存続できているな、と感心してしまうくらいだ。
「スピードボール部にクロスミントン部に、後は……」
依然として呪文のように部活名を唱えていく涼に制止をかけようとしたその時、とある部活名が告げられて夜深は硬直した。
「麻雀部とか?」
より正確には部活の名前にではなく、それを発した声に対して、である。
「あー、麻雀部か。むしろこの中だとマイナーってほどでもなくて中途半端じゃね?」
「そうなのかなぁ?」
気にした様子もなくビラをペラペラと確認していく涼にしゅんとした声音が送られる。
「つか、月峰の麻雀部は部員は少ないけど結構ガチだって噂だぞ」
「狙えそうな大会のタイトルは全部狙ってるからね!」
一転して気合のこもった宣言が届く。
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