二人はお互いに少しずつ歩み寄り、5メートル程の距離まで近づいた。その時、西須の背後から麻利衣が賽子の所に駆け寄ってきた。

「賽子さん!」

彼女は西須の横を通り過ぎると、左手を賽子の右肩に置いて、腰をかがめてしばらく息を切らしていた。

「こんな所にいたんですか。大変です。大野君が、いや、戸田君が取調室で火だるまになったんです。早く一緒に来てください」

「バナナ、死にたくなかったら私の後ろに下がってろ。そいつが西須悠雅だ。今から因縁の対決をするところだ」

「えっ!」

麻利衣はぎょっとして西須の方を振り返った。

「早く下がってろ」

麻利衣は指示通り彼女の背後に隠れた。西須は足を軽く前後に開き、右の掌を垂直に立て、まっすぐに突き出した。賽子は鋭く彼を睨みつけながら足を前後に大きく開いて深く腰を落とし、右手の人差し指を彼に向けてまっすぐに突き出し、左手で右手首をしっかりと支えた。

「プラズマ・フロー!」

西須が大声で叫ぶと賽子もすぐに応じた。

「ネオ・サイコガン!」

西須の右手から赫耀と煌めく炎のような光が放たれたと同時に賽子の指から青白く光り輝く光線が放たれ、2つの光は中間点で激しく衝突し、強力なエネルギー同士のせめぎ合いにより、目が眩むほど白く輝く小さな太陽のような火の玉が出現し、そこから発せられる高熱と爆風で彼らが立っている橋そのものが崩壊しそうになった

――かのような迫力ではあったが、実際、麻利衣の目には大の大人が2人して夜の橋の上でヒーローごっこで遊んでいるようにしか見えず、二人の間にも涼やかな夜風が吹き抜けているだけだったし、橋も全く壊れていなかった。

「ちょっと……何してるんですか……」

唖然とする麻利衣を差し置いて、二人は顔面を滑稽なほどに歪め、睨み合いながらさらに雄叫びを上げた。

次回更新は3月21日(土)、21時の予定です。

 

👉『超能力探偵 河原賽子』連載記事一覧はこちら

【イチオシ記事】40代半ば、自分が女であることを忘れて10年以上。デートや恋がしたくて、ネットで出会い系や交際クラブを探してみることにした

【注目記事】マッチングアプリで出会った男に騙され監禁。そこには複数の女性がいて、上の階からは「お願い、殺さないで」と懇願する声が…