【前回の記事を読む】「嘘だと思うなら、試してみるかい? ここで全部言ってもいいんだよ」日本ロータリークラブのトップは大勢の前で、私のミスを指摘した
2 ロータリーの「DEI」を考える
1 国際ロータリーの「DEI」
二〇二五年の規定審議会(COL)において、「DEI」の表現は無くなり、「参加促進」(EPE Enhance Participant Engagement)に変化した。
公益団体に対する寄付金への課税圧力などがその背景にあったのだろう。
でも、表現は変わってもその精神には何らの変化もない。むしろ私は、DEI精神を昇華した末の文言変更だと認識している。
しかし、日本人にはそもそもDEI精神への理解があまりない。その意味を尋ねられても明快に説明できない人もいる。
そういった場合、それぞれの反意語を示してその解説を行うことも語句の本質を理解するのには有効だと思う。
2 Diversity(多様性)の反意語
Diversity(多様性)の反意語は、Uniformity(均一性)だ。
「均一性」とは、「すべてに通じて一様なこと、等しいこと」(広辞苑)との意味であり、日本人が好みそうな気質に見える。
幼少期、運動会などで他人と違う行動をとると、教師から度々怒られた。
教師は父兄に対して、何よりも子供たちが一律にキチンと行動するところを見せたいらしい。
それが、教師の教育的力量を誇示する腕の見せ所だとの認識があるのだろう。まだあどけない素直な子供はそれに従うから、教師の覚えはめでたい。
しかし、いつも人の言うことは聞かず、自由気ままに行動していた私は、教師からよく叱られた。
それを遠因として「教師だけにはなるまい」と固く決心していた私が、よもや大学の教員になっているとは自分の親も信じなかった。
私が大学教員歴一〇年を過ぎて教授に昇任したころ、母親が私に尋ねたことがある。
「お前は、いま何の仕事をしているのかい? 税理士かい?」
私が大学教授をしていると答えると、「嘘だあ! 信じられない! あんなに先生を嫌っていたのに……」と絶句したのが傑作だった。
「そうだよね。自分でも信じられないよ。なんで、こんな仕事を選んじゃったのかなあ」と答えておいた。
私の五歳の孫は、ソロバン塾に通い始めて半年が経ったころ、ソロバンを前にしてポツリとつぶやいた。
「なんで、ソロバン塾に行きたいなんて言っちゃったのかなあ……」
彼女は、間違いなく私の血を受け継いでいるなと思った。