しばらくして食品事務所から呼び出しがあった。健康食品についてはまだ漠然としたイメージしか持っていなかったため、部長から「減塩が健康に良いって、例えば減塩の味噌は一般の味噌に比べてどのくらい、何パーセント減塩されているのか?」という質問に対して、しどろもどろで即座に答えられなかった。

それから売り場に戻ると扱い商品について自分の知識のなさを恥じて、一品一品商品の説明書きを写し取った。売り場の陳列は取引業者任せで商品区分もまちまち。どこから手を付けたらと思案しつつ、比較的小さな職場だったのが逆に幸いして約四〇〇~五〇〇種類の商品のプライスカードをスタッフの協力を得て、一枚一枚簡単な商品説明を加えて手作りで仕上げていった。

その間に健康食品と一口に言ってもジャンル分け(大分類)ができるのではと試行錯誤しながら、栄養補助食品は温かい雰囲気をもったイメージでオレンジ色に、ハチミツに代表される自然食品は黄緑に、ダイエット食品はやはりピンクがいいか。

スポーツフードは空色にと区分し、取引先別の陳列から機能別の健康食品でくくってみたら、これが意外と好評で、見やすさも手伝って売り上げは徐々に上向いて行った。

店のイベントで売り場演出コンクールがあり、表示の部門で表彰された。やがて当時各デパート横並びの食品フロアから一線を画した「西武食品館」と銘打ってオープンを迎えた中で、話題性のある売り場として日本経済新聞(昭和57年10月16日の夕刊)に取り上げられた。

後日、ダイエーがオープンしたプランタン銀座の食品売り場へ市価調査に行ったら、ほぼ同じコンセプトで健康食品売り場作りが行われていた。