【前回記事を読む】障害児施設の見学に行った私は、思わず1歩後ずさりしてしまった。10歳程の男の子が大きな声を出すが、全く理解できず...

医学生時代 1979年4月〜1985年3月

小児神経1 障害への無知を知る

衝撃的な出会いだった。障害があってもなくても子どもはみな同じと、頭の中ではそう考えていた。しかし、実際にはあの子が歩み寄った時、私は立ち止まり、後ずさりした。

テレビで障害を持つ子どもたちの姿は何度も見ていたし、街角ですれ違うこともあった。その程度の知識や経験で、自分は障害児のことを理解し、差別など決してしないと思っていた。施設も一度見学すれば十分と考えていた。

でも、実際には何も分かっていなかった。一緒に遊ぼうと歩み寄ってきたあの子に対し、一瞬とはいえ、私の体は拒否反応を示した。差別の本質はこういうことなのかと思った。

この日まで、障害を持った子どもたちと実際に触れ合う経験はなかった。知識としてあの子らの存在を知っていることと、喜びを共有し合うこととは全く異なる。未知なる存在を拒否したり、警戒したりする心が、無意識のうちに作られてしまうことを、私はこの出会いの日に教えられた。

そして、次の週からは、土曜の午後に、自分から太平療育園へ通い続けることにした。

――秋田魁新報 2012年5月8日掲載