【前回の記事を読む】友達のマコト。彼の性格は天真爛漫だが、ガサツでもある。遠慮や気兼ねという、日本人として大切なものを母親の子宮に置いてきた。
第2章
僕、マコト、小林、タケ。同じクラスメイトでいっつも馬鹿ばっかりやりながら、一緒の時間を過ごした。今日も帰宅部の僕ら四人は帰りにファミレスに寄って、ドリンクバーと山盛りポテトフライを頼んでどうでもいい馬鹿話をするのだろう。小林とタケを乗せたピンク自転車が右折して見えなくなった頃、マコトが従前の話題に話を戻した。
「一人親方の個人工務店も大変なんやで。仕事がだんだん減ってきたってオトン言うてたし」
「そうやろなぁ」とすこぶる曖昧な返事をして、また僕らは肩を並べて歩き出した。
「駿ちゃんはさ、進学なんやろ?」
「いや、就職かも」
「え? なんで? 駿ちゃんの頭やったら、余裕で関関同立いけるやろ?」
「まぁな」
「ほんま、駿ちゃんって、なんでそんな勉強できるん? マジ、羨ましいわ」
「羨ましいって言われても、天才やから、しょうがないよな」
「自分で言うな!」
交通量の多い車道を渡って、二、三度折れたり曲がったりすると、急に目の前が広くなって大きなマンションが所々に建っている。僕らはそのマンションに見下ろされながら歩いた。
ブロンブロンと喧しい4トントラックが僕らの横を通り過ぎたところで僕が「でもな、俺は進学せんと就職やろうなぁ。うち貧乏やから」と言ったら、マコトが「でも奨学金とか借りて、大学っていう選択肢もあるんちゃうの?」と答えた。彼は腕を組み、クリクリした目で無垢な表情をした。
「まぁな。でも早く稼ぎたいからさ。生活費をな。オカン、無理させてるし」
「そうかー。きよぴー頑張って働いてくれてるもんな」
幼稚園からの付き合いである幼馴染のマコトは、昔からオカンの事をよく知っていて、彼はオカンの事をあだ名で、きよぴー、と呼ぶ。
「早いこと、オカンを楽させてやりたい気持ちがあるねん」
「駿ちゃんは、ほんま優しい子やなぁ。大学で遊びたいって考えてる自分が恥ずかしなるやん。あかん。俺も駿ちゃん、見習うわ。今日から心入れ替えて真面目に生きよ!」
マコトは腕を組み、意気込んだ。僕は悪い顔をして「ポジティブマインドやな」と言う。