「その西二号館のベンチで毎日、野郎が集まってね、馬鹿話ばっかりしてましたよ。ほとんど、女の子の話でした。当時の僕ね、モテ期が来てたんですよ。何回、告白されたかなぁ。ひどい時は、3日間連続で告白されたこともありましたね。3連チャンですよ〜。ありえないっしょ?」
はい、始まりました。オッサンの恋愛武勇伝。絶対おもんないパターンのヤツや。お前の武勇伝については、ゆりかごから墓場まで一切の興味引くことなしに過ごせる自信があります。
「当時、馬鹿話してた仲間の中に、松木っていう大親友がいたんですけどね」
彼はトーンを下げて続けた。
「彼は受験勉強をやめて、お笑い芸人の養成所に行って芸人になったんです。結局、卒業してから音信不通になりましてね。僕が電話しても全然出てくれなくて。あのね、わからなくもないんですよ。僕が大企業でバリバリ働いて出世していく中、一方、彼は売れないお笑い芸人でしょ? 彼のプライドが邪魔して僕に連絡しにくかったんでしょうね」
夢を追いかけて散っていった仲間を彼は完全に見下していた。彼の中には、確固たる社会的ヒエラルキーが構築されていて、当該階層のどこに自分の身を置くかで人生の全てが決まるという思想。
職業などの属性を向上させ資産を最大化し、できるだけ上の属性へという発想。お笑い芸人を目指したかつての仲間は、いつの日か彼の冠位十二階制度の階級外へ放り出されていた。
次回更新は3月15日(日)、14時の予定です。
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「ガストで待ってるで、ガストやでぇ」