「知らないのかいヒカル、もうこっちの統治下に置かれたらしいぞ。ニュース見てないだろう。ジャポネ州だっけ? ダイスケ。良かったね、晴れてアメリカン。いまじゃ高速道路なんか全部タダらしいぞ。燃料も安いし太っちょウェルカムだってさ、飛べっ」

「リクまで何や、むっかつくこの、狼少年! ちょっとメグ、そんなところで放心しとらんと。ほんまはらっ立つわ、アンタも何か言ってやってやもう。リクだってうちらとたいして変わらん選挙権もないただの問屋やないか、クビになったらしまいやで、毎月欠かさん言うてた実家への仕送りもおちおちできんくなるで。いまさら国に帰って年金のツケ払えるんか」

「おいおいヒカル、大違いやろ。あほかほんま」マサが目を閉じたまま壁にもたれて小声を漏らし気持ち良さそうににやける。「お前ほどほどにしとけよ。明日はキーウエストまでハンドルキーパーだからな」とそのとなりでダイスケは下唇を舐めながらキラキラした白い粉を溶かし始めた。

「調子に乗って店の不良在庫品くすねてばかりおるといつかバチ当たる。いい気味や、いや、やっぱうそうそ、いっぱいくすねてきて」

力強く放ると力強く錐揉み状に落下する。そうっと放ればそうっと錐揉み状に落下する。絨毯に叩きつけたらその通りになった。さまざまな形状の紙飛行機があぐらをかいた足許に散らばり、まるでダイヤモンドを散りばめた岩石のようにキラキラ輝いて見えてとても綺麗だ。

 

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