しばらく歩くと、視界が開けた。
ちょうど灯台から放たれる光のビームが空と海を交互に照らし出し、遠くには燃えるような漁火が点々と並んでいる。
「こりゃあ、絶景だ」用を足すのもそこそこに、坂田はカメラを回した。
無人島でのロケハンということもあって、機材を最小限にしようと、手のひらサイズのビデオカメラを用意していたのだった。レンズを通すと、混沌の宇宙に浮かぶ星雲のようにも見え、坂田は仕事だということも忘れて見とれてしまっていた。
入社から八年過ぎ、今でこそメタボ気味だが、体育大学出身。
誰も信じないが、野球部では俊足で鳴らした。百メートル走は十二秒を切り、ベースランニングでは誰にも負けなかった。そういえば、合宿の息抜きに、よくキャンプファイヤーのまねごとをやったものだ。
合宿地は海や山に近い場所が多かったが、それでも、これほど見事な夜景は記憶にない。
城戸さんの仕事はワクワクするなあ、やっぱりついてきてよかった。仕事はほんと、人だよなあ、と坂田は思う。
頭より体が先に反応する体育会系の一人として、坂田も報道現場にあこがれた口だ。災害や大事件では何時間も、いや何日でも現場でカメラを回す体力が求められる。
他社より先に現場へ向かい、少しでも良い場所を確保し、迫力ある映像を記録したい。それが自分の「作品」としてテレビで流れるのだから、誰もそれが自分の作品だとは知らないとしても、これほど楽しいことはない。
しかも、毎日毎日、結果が出る。野球の試合と同じで、自分の力とチームワークが結果につながり、それが目に見えるというところが分かりやすかった。
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