「木下藤吉郎、見事、あっぱれじゃ。墨俣築城、誠に見事。みなのもの、藤吉郎を見習え」

「ははー」家臣一同が平伏している。

「藤吉郎には、褒美として金銀それぞれ30枚を佐久間に申し付けてある。受け取るがよい」

「はは、ありがたき幸せにござります」

「ところで猿よ、佐久間や柴田が何カ月もかけて出来なかった築城をわずか3日で完成させたその訳をこの役立たずな者どもに教えてやれ」

「かねてより我が師、殿も知る、蜂須賀より長良川の者たちを調略していました」

「おお、生駒の吉乃の屋敷におった我が家臣の蜂須賀か、懐かしいのう」

「はっ」

「して、その方法は? いかがしたか申せ」

「はっ、夜半より長良川の上流から築城に必要な木材を大筏で下手へ流しましてございます。すでに必要な部材は切り分け、部材を組み上げ、それを筏に載せて流しました。

途中、墨俣の受け取り地点は、太い縄(なわ)で材料が下流に流されないように関を作りました。

後は、各部材を陸に上げ、大工と棟梁10人を5組に分け、土台、柱、壁、天守、内装を分担で競わせ築城を夜のうちに仕上げさせました」

「しかし、竜興によく見つからず、邪魔が入らなかったものだな?」

「はっ、昼は布で覆い何事もないよう見せかけました。敵を欺き、仕事は夜のみ実施することで無事に完成させましたのでございます」と藤吉郎は説明した。

「なるほどの。皆のもの、これが働く蟻の見本である。実に良き。見習うように」

信長が褒めると、信長に心酔する藤吉郎は、益々意気揚々と次の仕事に邁進する気概を強くした。

軍議を終えた藤吉郎は領内の館に一目散に帰り、寧々と母様に報告する。

「帰ったぞー。殿からのほれ、このご褒美を見ろ、金銀入り巾着だ。すごいだろう」

「お帰りなさいませ。まあ、なんてことでしょう。こんな黄金見たことありませんわ。母様見てくだされ、藤吉郎様がまたこんなに」

「ありがたいの、畑がまたたくさんできるわ」と寧々と母様、みんなで喜んだ。

次回更新は3月12日(木)、19時の予定です。

 

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