私はそんな経験から持ち家や不動産に対してより執着するようになった。いつか自分の「家」を持つことを心に決めていた。

阪急淡路のアパートで一人暮らしが始まった。親から離れ、一人暮らしの楽しさや解放感は今の時代も同じかもしれない。私は友人を通じて彼に何とか連絡を取った。そして、彼を私のアパートに招いた。最寄りの駅まで迎えに行く。ちょうど今日と同じだ。

彼はすでに社会人で会社では一目置かれた存在だったようだ。阪急淡路駅に来た彼は細身できっちりしたスーツ姿で本当にカッコよかった。多分、女の子には不自由していなかったろう。久々の再会で私たちはすぐに第3段階に進んだ。彼にとってはそれが日常茶飯事だったのだろう。女が求めればSEXしてあげるのが「モテる男」の務めくらいに思っていたのだろう。

彼は何度か私のアパートを訪ねてくれた。たまに泊まってくれたこともあった。料理と言えば目玉焼きくらいしか出来ない私に彼は何も言わなかった。私は第3段階で女性としての悦びがあったかというと、そうではなかった。不感症という訳ではなかったが、親に内緒でSEXしているという罪の意識を常に感じていた。

ある時、彼は酔った勢いで同僚をアパートに連れてきた。三人でHをしようと言い、何故か彼と同僚は盛り上がっていた。彼は仕事でストレスを抱えていたのは何となく知っていたが、その捌(は)け口が私なのか、私は都合の良い女でただの遊び女なのだということを自覚しない訳にはいかなかった。

再会してもう一度愛し合っていると思っていたのは私の錯覚だったのだ。

彼の同僚が私にキスを仕掛けてきた時に、「俺のことりや、したらあかん」と言ってくれたが、私はもう白けていた。翌週、私はそのアパートを引き払い親元に戻った。相原自動車教習所(大人への階段)は第3段階で中退した。

第4段階に進むことは出来なかった。第4段階って何だろう。妊娠か。結婚か。悲しい記憶が蘇った。この時のことが37年前のはずだ。私は、別れた時の記憶がはっきりしていると思い込んでいた。じゃあ、彼が言った「お前が婦長(師長)になったら会ってやる」というのはいつだったのだろう。

彼の記憶がない空白の4年間での出来事だったのだろうか。

 

「大人の恋愛ピックアップ記事」の次回更新は2月23日(月)、19時の予定です。

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