信長は「信念・目的の達成」のためならば、僧や女、子供も殺す鬼の心を持った気性だったという。

信長の性格は、風土によって培われたのか? 焼けつく蒸し暑い夏と手足の先まで凍てつく厳しい冬、尾張の気候や魑魅魍魎の戦国の姻戚関係の裏切り、それを勝ち抜かざるをえない環境が、不器用で歪(いびつ)な性格をつくらせたのだろうか。

育成係の家老平手の自刃が、彼の性格を一層変貌加速させたのか? しかし、彼の性根には常に熱いものがあったことはどの家臣も知っている。

藤吉郎もその一人。勿論(もちろん)、犬千代(前田利家)もその一人。フロイスも見ている。

信長は、正義に厳格、戦術は老練で性急。名誉心に富み、御仏を信じず、家臣の進言に従わず、畏敬されていたと言う。

最近の研究では、信長に先天的な心の疾患が見受けられることがわかってきた。

それは、アスペルガー症候群。その証左は、「坊主の教義に従うような従順さはなく、自分の衝動を抑えられない状況になれば、容赦なく処置した」という史実やフロイスの言質からも伺い知れる。話を元に戻そう。

城内では、信長が藤吉郎を探している。藤吉郎が城内に居ない理由を周囲は知っているが、信長は気が付かない。

いや、忘れているのか? 信長は、藤吉郎には明日の会議で会える。

しかし激務で走り回っている藤吉郎の状況を理解できないでいる。自分が指示したことも忘れ、家臣が動揺する状況も認識できないほどだ。

次回更新は3月6日(金)、19時の予定です。

 

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