【前回の記事を読む】焦げた餃子が焼けない!? 焦げそうになると勝手に火力が弱まるガステーブルは、果たして技術の進歩と言えるのだろうか…

餃子が焼けない

新しいガステーブルに慣れるとすると、筆者のレパートリーは減るに違いない。それは、料理をする幸福から遠ざかる道でしかない。

やや、大げさになってしまったかも知れない。筆者を悩ます新しいガステーブルは、たぶん完成度が低いだけなのであろう。温度センサーで安全を確保する基本はそのままに、必要に応じて温度センサーをスルーできるようにすれば、使いにくさは確実に減る。(件のA設定によっても温度センサーはスルーできない。)

その他の不備にしても、簡単に改良可能であろう。長時間放置すると勝手に火が消えてしまうのは、この機能をオフにできればそれでよい。火力の調節についてもデジタルの刻みを細かくすればよい。などなど。すべて簡単に改良できるはずである。

ただ、危惧されるのは、こうした改良がなされる見込みがあるかどうかと問えば、たぶんないだろうということである。筆者を悩ますこのガステーブル、と言うよりも、現在市場にあるビルトイン型のすべてのガステーブルと言うべきだろうが、それらの設計者の頭に、料理という仕事のあれこれが分かっていないらしいからである。

料理には、餃子のように、焦がすべき場合があることを、これらガステーブルの設計者は認識していない。火力の調節の刻みが粗いのも、たとえば、吹きこぼれない範囲で最大の火力にしたいという料理上の要求があるということを、認識しないから平気なのである。

これらの設計者は、串を打って鮎を焼くとか、二時間以上煮込む牛すね肉のシチューとか、イメージしていないだろう。設計思想が貧しいために、料理の技量を台なしにするような製品を作ってかえりみない仕儀に陥っているのだ。